一次関数の文章題は、中学2年生の数学で多くの生徒さんがつまずきやすい単元です。基本的なグラフや式の計算はできても、いざ文章題になると「どこから手をつければいいのかわからない」という声をよく聞きます。
この記事では、一次関数の利用問題を着実に解けるようになるための学習の進め方と、押さえておきたい大切なポイントをまとめました。
一次関数の利用問題とは
一次関数の利用問題には、大きく分けて次のような種類があります。
- 料金の問題(携帯電話の通話料、タクシー料金など)
- ばねの問題(おもりの重さと長さの関係)
- 水そうの問題(水の深さと時間の関係)
- 動く点の問題(図形上を動く点の座標)
- 速さの問題(2つの物体の移動と出会い・追いつき)
- グラフを使った面積の問題(三角形や四角形の面積を求める)
どの問題も、日常生活や図形の中にある関係を一次関数の式で表し、グラフや計算を使って答えを求めていきます。
学習を始める前に確認しておきたい基礎
一次関数の利用問題に取り組む前に、次の基礎的な内容がしっかり身についているか確認しましょう。
必ず押さえておきたい基本事項
- 一次関数の式の求め方
- 傾きと切片がわかっているとき
- 2点の座標がわかっているとき
- 傾きと通る点がわかっているとき
- グラフと式の関係
- 傾きが何を表すのか
- 切片が何を表すのか
- グラフから式を読み取る方法
- 2つの一次関数の交点の求め方
- 連立方程式を使った計算
- 交点の座標が表す意味
これらの基礎が曖昧な場合は、まず基本に戻って練習することをお勧めします。利用問題は、基礎の組み合わせで解けるようになっているからです。
問題のパターン別学習法
料金・ばね・水そうなどの基本的な文章題
学習のポイント
まずは問題文から一次関数の式を作る練習を重ねましょう。
- 問題文のどこに「変化する2つの量」があるか見つける
- どちらをx、どちらをyにするか決める
- 表を作って関係を整理する
- 比例定数(傾き)と定数項(切片)が何を表すか考える
同じような問題を何問か解くことで、パターンが見えてきます。料金の問題なら基本料金が切片、1分あたりの料金が傾きになることが多いなど、問題の種類ごとの特徴に気づくことが大切です。
練習問題はこちら
一次関数の文章題(料金、ばね、水そうなど)
動く点の問題
学習のポイント
図形上を点が動く問題は、時間とともに点の位置(座標)が変わることを式で表します。
- 図に動きを書き込んで、関係を目で見てわかるようにする
- 点の動き方を段階に分けて考える(辺ごとに式が変わることがある)
- x座標とy座標をそれぞれ時間で表す
図形の問題ですが、実は式を作れば計算で解けることがわかると、取り組みやすくなります。
練習問題はこちら
一次関数の利用 動点の問題
速さの問題
学習のポイント
2つの物体が動く問題では、それぞれの動きを式で表し、出会う場所や追いつく時間を交点として求めます。
- それぞれの物体について、時間と距離の関係式を作る
- グラフに表して、交点の意味を理解する
- 連立方程式で交点の座標を求める
速さの公式(距離=速さ×時間)を使いますが、どの式にどの値を当てはめるか整理することが大切です。
練習問題はこちら
一次関数の利用―速さの問題
グラフを使った面積の問題(基本)
学習のポイント
座標平面上で、一次関数のグラフと座標軸が作る三角形や四角形の面積を求める問題です。
- グラフと座標軸との交点を求める
- できる図形の形を確認する(三角形か四角形か)
- 底辺と高さを座標から読み取る
- 必要に応じて図形を分割して考える
面積を求めるには、まず図形の頂点の座標をすべて求めることが基本です。
練習問題はこちら
一次関数のグラフの利用1 面積を求める
グラフを使った面積の問題(応用)
学習のポイント
面積を二等分する直線を求めたり、同じ面積にする条件を考えたりする、やや複雑な応用問題です。
- まず図形全体の面積を求める
- 条件(二等分、同じ面積など)から、求める図形の面積を決める
- その面積になるような直線の式を考える
- 文字を使って式を立て、方程式を解く
基本的な面積の問題が解けるようになってから取り組むと、理解しやすくなります。
練習問題はこちら
1次関数のグラフの利用2
効果的な学習の進め方
1. 基本問題で型を身につける
最初は同じパターンの問題を繰り返し解いて、解き方の流れを覚えるようにしておきましょう。「この問題はこうやって解く」という型ができると、応用問題にも対応しやすくなります。
2. 図やグラフを必ず書く
文章だけで考えようとせず、必ず図やグラフを書いて問題を整理しましょう。視覚的に理解することで、何を求めればいいのかが分かりやすくなります。
3. 式が表す意味を考える
ただ計算するのではなく、「この傾きは何を表しているのか」「この切片は何を意味するのか」と、式と実際の状況を結びつけて考える習慣をつけましょう。
4. 解けなかった問題は必ず復習
一度解けなかった問題は、解説を見て理解したあと、日を置いてもう一度自力で解いてみることが大切です。これを繰り返すことで、確実に解ける力がつきます。
5. 答えの確認を忘れずに
求めた答えが問題の条件に合っているか、座標やグラフで確認する習慣をつけましょう。計算ミスや式の立て間違いに気づくことができます。
つまずいたときの対処法
式が立てられない場合
- 問題文をもう一度ゆっくり読み、何と何の関係を表すのか確認する
- 具体的な数値を表に整理してみる
- 似た問題の解き方を参考にする
計算ミスが多い場合
- 途中の式を丁寧に書く
- 代入する値を間違えないよう、確認しながら進める
- 最後に答えを式に代入して確認する
応用問題が解けない場合
- 基本問題に戻って、解き方を確実に身につける
- 問題を小さな部分に分けて考える
- 似た問題を何問か解いてパターンに慣れる
まとめ
一次関数の利用問題は、最初は難しく感じるかもしれませんが、基礎をしっかり固めて、同じようなパターンの問題を繰り返し練習することで、必ず解けるようになります。
大切なのは、一つひとつの問題で「なぜこの式を使うのか」「この答えは何を意味するのか」を考えながら学習することです。式とグラフと実際の状況を結びつけて理解できれば、初めて見る問題でも対応できる力がついていきます。
焦らず、着実に学習を進めていきましょう。上記の練習問題リンクも活用しながら、一次関数を得意分野にしていってください。
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