中学3年生になると、高校入試に向けて模試を受ける機会が増えてきます。
学校の定期テストでは、ある程度出題範囲が決まっているので、テスト前にその範囲を集中的に勉強することができます。それに対して模試は、これまでに勉強した広い範囲から出題されます。そのため、定期テストではそれなりに点数が取れていても、模試になると思うように点数が取れないことがあります。
また、模試の結果が返ってくると、偏差値や志望校の判定が気になります。A判定なら安心しますし、思ったより低い判定が出れば、「このままで大丈夫なのだろうか」と不安になるでしょう。
ただ、模試は志望校に合格できるかどうかをその時点で決めるためのテストではありません。むしろ、入試までに何を勉強すればよいのかを見つけるために利用するものと考えた方が、受験勉強には役立ちます。
特に中3の秋以降は、模試の結果を見て終わりにせず、その後の勉強を変えていくことが大切です。
中3の模試は何のために受ける?
模試では、それまでに学習した広い範囲から問題が出されます。そのため、今まで勉強してきたことがどの程度身についているのかを確認することができます。
定期テストなら「今回はここからここまで」と範囲が分かっていますが、入試ではそうはいきません。中1・中2で習った内容も、中3で習った内容も、入試ではまとめて出題されます。
模試を受けてみると、「前に習ったはずなのに忘れている」というところが意外と見つかります。反対に、しばらく勉強していなかった単元でも、きちんと身についていれば解くことができます。
こうしたことを確認できるのが、模試を受ける一つの意味です。
もう一つ大切なのが、時間内に問題を解く練習ができることです。
普段の勉強なら、分からない問題をじっくり考えることもできます。しかし入試では、限られた時間の中で最後まで答案を作らなければなりません。
例えば、数学の難しい問題に時間をかけすぎて、最後の問題までたどり着けなかったとします。この場合、「数学の学力が足りなかった」と考えるだけでは、次の対策につながりません。
解ける問題を先に取るべきだったのか、途中で見切りをつける必要があったのか、単純に問題を解くスピードが足りなかったのか。模試を何度か受けていくと、自分の時間の使い方についても分かってきます。
模試は、今の学力を確認すると同時に、入試でどのように得点していくかを考える練習にもなります。
模試を受けた後に何をすればよいか分からない場合は、そちらも参考にしてください。
→ 「模擬試験で実力アップ|中学生が知っておきたい受け方と復習法」
模試の結果は偏差値だけで判断しない
模試の結果が返ってくると、まず偏差値や志望校判定を確認すると思います。
もちろん、これらは現在の位置を知るための大切な情報です。ただ、そこで「A判定だった」「D判定だった」と確認して終わってしまうのはもったいありません。
例えば、数学が60点だったとします。
同じ60点でも、計算問題や基本問題はほとんど正解していて、後半の難しい問題で失点している人と、基本的な問題をいくつも落としている人では、これから取り組むべき勉強が違います。
前者なら、今後は標準問題や入試問題に取り組むことで、さらに得点を伸ばせるかもしれません。後者なら、難しい問題に進む前に、まず基本問題を確実に解けるようにする必要があります。
ですから、模試の結果が返ってきたら、偏差値だけではなく、どの問題を間違えたのか、どの分野で点数を落としているのかまで確認してみましょう。
成績表には、教科ごとの得点や設問ごとの結果、平均点、分野別の成績などが掲載されていることがあります。模試によって表示される項目は異なりますが、こうした情報を見ることで、単純な偏差値だけでは分からない自分の弱点が見えてきます。
間違えた問題は「なぜ間違えたのか」を考える
模試の復習で大切なのは、間違えた問題をもう一度解くだけではありません。
「なぜ間違えたのか」を考えてみることです。
例えば数学の問題なら、公式を知らなかったのか、公式は覚えていたけれど使い方が分からなかったのか、解き方は分かっていたのに計算を間違えたのかによって、必要な勉強は変わります。
英語でも同じです。単語の意味が分からなかったのか、文法が分からなかったのか、英文の内容は理解できていたけれど時間が足りなかったのかによって対策は違います。
「数学が苦手」「英語が苦手」というところで止めずに、「数学の関数で失点した」「英語の長文で時間が足りなくなった」というところまで原因を絞っていくと、次の勉強がかなり具体的になります。
解説を読んですぐに理解できる問題なら、その場で解き直してみましょう。それでも分からない場合は、模試の問題だけを何度も解くのではなく、教科書や普段使っている問題集に戻って、その単元を復習します。
模試は、できなかった問題を教えてくれるだけでなく、「どこまで戻って勉強すればよいのか」を考えるきっかけにもなります。
すべての間違いを同じように復習する必要はない
模試の答案を見直していると、たくさん間違えていることに気づいて、「全部やり直さなければ」と思うかもしれません。
しかし、入試までの時間を考えると、間違えた問題をすべて同じように扱う必要はありません。
まず確認したいのは、本来なら取れたはずの問題を落としていないかということです。
例えば、数学の計算問題でミスが続いているのであれば、難しい入試問題を増やすより、計算を正確に解く練習をした方が得点につながります。
逆に、基本問題はほとんど取れていて、関数や図形などの標準・応用問題で失点しているのであれば、次の段階の問題に取り組む必要があります。
模試で難しい問題を間違えたことだけを気にするのではなく、「今の自分なら、どこを直すと一番点数が伸びるのか」と考えてみましょう。
受験勉強では、すべてを一度に完璧にすることはできません。模試の結果を使って、優先順位を決めることが大切です。
模試を受けた後の勉強を変える
模試を受けて、結果を確認して、それで終わりにしてしまうと、せっかくの模試を十分に利用できません。
模試の役割は、結果を見て「自分はここが弱い」と分かったところから始まります。
例えば、数学の計算問題で失点が多かったのであれば、普段の勉強の中に計算練習を入れてみます。英語の長文で時間が足りなかったのであれば、長文を時間を計って読む練習をしてみます。
理科のある単元だけ点数が低かったのであれば、その単元を教科書から確認して、基本問題を解き直します。
このように、模試で見つかった問題を普段の勉強に反映させていきます。すると、模試が単なる「現在の成績を測るテスト」ではなくなります。
模試で弱点を見つけ、その後の勉強で弱点を補い、次の模試でどこまで改善できたかを確認する。この繰り返しが、受験勉強につながっていきます。
中3の秋は模試の結果を特に活用したい時期
中3の夏休みが終わると、入試までの時間をかなり意識するようになります。
この時期になると、「まだ苦手なところが残っているけれど、いつまでに復習すればいいのだろう」と焦る人もいるでしょう。
だからこそ、秋以降の模試は、今後の勉強の優先順位を決める材料として使いたいところです。
例えば、夏休みまでに中1・中2の復習を一通り終えたつもりでも、模試を受けてみると忘れている単元が見つかることがあります。
そこで「復習したのにできなかった」と落ち込む必要はありません。むしろ、入試本番の前に「まだ覚え直す必要があるところ」が分かったと考えればよいでしょう。
秋のうちは、模試で見つかった苦手を一つずつ潰しながら、標準問題や入試問題にも少しずつ取り組んでいきます。
そして冬に近づいてきたら、それまでの模試や問題演習で何度も間違えているところをもう一度確認します。
この時期は、新しい問題集を次々に増やすよりも、今まで勉強してきた中でできていないところを確実にできるようにすることも大切です。秋から冬にかけての高校受験対策では、苦手分野を把握して優先順位をつけながら勉強することが重要です。
模試の判定が悪かったときはどうする?
模試で志望校がC判定やD判定だった場合、「志望校を変えた方がいいのかな」と不安になることもあると思います。
しかし、一度の模試の判定だけで、すぐに結論を出す必要はありません。
大切なのは、なぜその判定になったのかを確認することです。
例えば、合格圏まであと少しのところまで来ているのであれば、苦手な教科や単元を重点的に勉強することで、次の模試で結果が変わる可能性があります。
反対に、基本的な問題からかなり失点しているのであれば、まずは基礎を固める必要があります。
また、模試は毎回同じ問題が出るわけではありません。問題の難しさや出題分野によっても結果は変わります。そのため、一回の判定だけで自分の学力を決めつけず、何回か受けた模試の結果を見ながら変化を確認していくことも大切です。
「D判定だったから駄目」ではなく、「D判定になった原因は何なのか。その原因を入試までにどこまで改善できるのか」と考える方が、受験勉強には役立ちます。
模試は入試までの勉強を決める材料にする
模試を受けると、どうしても偏差値や志望校判定が気になります。
ただ、本当に活用したいのは、その数字の裏側です。
「数学が60点だった」だけでは、次に何を勉強すればよいのか分かりません。
「計算問題はできているけれど、関数で失点している」「英語は単語や文法問題では取れているけれど、長文になると時間が足りない」というところまで分かれば、次の勉強を具体的に決めることができます。
模試は、今の学力を評価して終わるものではありません。
できているところとできていないところを確認し、次の勉強を変えて、その結果をまた次の模試で確認する。その繰り返しによって、入試本番で取れる点数を少しずつ増やしていきます。
中3の秋以降は、模試の結果を見て一喜一憂するだけではなく、「この結果を受けて、次は何を勉強するか」まで考えてみましょう。
模試を上手に利用できれば、入試までの限られた時間を、自分に必要な勉強に使いやすくなります。
模試の結果をどのように見ればよいのか、また、秋から高校入試に向けてどのように勉強を進めればよいのかについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。
→ 模試の結果を成績アップにつなげるコツ 本当の模試活用法とは?(ベネッセ教育情報)
